中和抗体を考慮し、ボツリヌス製剤「コアトックス」を導入しました。文献も交えて私の考えをお話いたします。

ボツリヌス治療は当院でも人気のメニュー。それは打ち手Drの上手い、下手がわかれる施術。

美容初診者の方の美容の入門でもあり、そして入門であるがゆえに、最初にうまくいかないと美容医療に対して懐疑的になってしまいかねない責任重大な治療です。スタンダードではあるが、刺入位置、深さの正確性、その人にあった単位数の選定など、難しい面も持ち合わせる手技です。

とにかくボトックスは気に入ったDrにずっとお願いして個々の単位をしっかり理解してもらうといいです。

「当院スタッフは全員私がボトックス担当し、管理しています」

さて、コアトックスは、韓国の大手製薬企業メディトックス社が開発した、ボツリヌストキシン製剤のひとつ。
眉間のシワ、額のシワ、目尻のシワ、エラの張り、多汗症などに用いられるボツリヌス治療薬(A型ボツリヌス毒素製剤)一種ですが、なぜ製剤があるのに、新しいものが必要?

それは、2025年5月に行われた美容外科学会でも話題になっていた、ボツリヌスの「中和抗体」の事についてです。

「中和抗体」とはわかりやすく言えば、繰り返しボツリヌストキシンを製剤を投与すると、ごく一部の人で体が「抗体」をつくってしまい、薬が効きにくくなることです。そしてその中和抗体は、従来のボトックス製剤に付随する「複合タンパク」が免疫の標的になりることでできやすいと考えられています。

中和抗体とは実際の発現頻度的にはかなり低いといわれていますが、、、、、。

2024年香港の論文にてこれらの中和抗体の報告があります。美容医療での通常量で使用する数単位の使用場合には、ほぼほぼ中和抗体のことを気にする必要はないレベルの低発現率である。ただし、治療が長期に渡る場合、また単位数が大きくなってくると、話は変わるよと。使用量が多くなってくると、中和抗体ができやすいことが証明されています。ボトックスの効果は維持されているものの、体内で抗体が存在しているケースはかなり多いと報告がありました。

私は常日頃からボツリヌス治療を毎日行わせていただいておりますが、時々、

「先生、最近ボトやってもすぐに効果が切れてくる気がする」という意見は耳にします。年齢とか、打っている単位とかさまざまだし、効き目の感覚は個人の感覚もあります。ですが、実際に動きをとめていた筋肉が動き出し、シワが寄ってきてしまうので、切れが早いのは明確にわかる。前回と同じ打ち方、同じ単位数でも変化してくる。

そういう場合は、製剤を変えてみる事や、一時ボトックス治療をやめて時間を置くなどの選択肢になってくるのが一般的かと思われます。その効き目の切れが早いのが「中和抗体」が原因であった場合を検討する必要があると。

では、ここで抗体をなるべく作らせないようにするためにはどうしたらいいのか?という疑問から、今回の「コアトックス」の話になります。

「コアトックス」の特徴としては、

①ヒト血清アルブミンなし、複合タンパク含まない
従来のボツリヌス製剤には、安定剤としてヒト血清アルブミンが含まれたが、コアトックスはそれを使わずに、植物由来のポリペプチド(ポリソルベートなど)で安定化。そして複合タンパクも排除し、不純物が少なく、抗体(中和抗体)ができにくい設計とされる。繰り返し治療しても効きにくくなるリスク(抗体産生リスク)が低い。この2つを取り除いた製剤は他にないと思います(私が知りうる限り)

新しいため、データ不足の部分はありますが、ゼオミン(ドイツメルツ社)の中和抗体の発生率が低い

②効果・持続は従来品と同等
効果の発現時間や持続期間は、従来のボトックスやニューロノックス、ボツラックスと同等
(通常:3〜7日で効果発現、3〜4ヶ月程度持続)で変わりません。

有効成分
ボツリヌストキシン A 型(Clostridium botulinum toxin type A)であり、ボトックスとまったく同じ。株もHALL株で同一。
毒素そのものは極めて微量で、筋肉や汗腺に注射して神経伝達物質の放出を抑え、筋肉の動きを弱めたり発汗を抑える。

用途
顔のシワ改善(眉間・額・目尻・バニーラインなど)
エラの張り改善(咬筋縮小)
多汗症(腋窩、手のひらなど)
ガミースマイル、首の縦ジワ、ふくらはぎの筋肉縮小 。

以下まとめの表です。パワーポイントでまとめてみました。

ではどう考えたらよいのか。私の解答は↓

コストをなるべく抑えながら、少量単位で治療を継続する→ボツラックスでOK

日本承認品、安全性と純度にこだわり、特に「ヒト血清アルブミンが気になる」や、長期目線で「抗体を作りたくない」→コアトックス!

日本承認品、歴史にこだわり、製造移送まで厳重管理で、他の製剤でアレルギーが発現する人→ボトックスビスタ!となります。

用途、単位数については製剤毎の違いはほとんどありません。当院では施術後2週間以内のタッチアップシステムもありますので、控えめな単位数からはじめることを基本としております。そして、個人個人での症状、効き方をみながら、カルテを作成していきます。

ボツリヌス製剤の選択肢を増えましたので、ぜひご参考にしてみてください!

ボツリヌス治療 17500円~

副作用 腫れ、腫脹 内出血 皮膚炎 筋肉麻痺など


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名古屋市千種区・覚王山

服部形成外科・皮ふ科

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