システアミンでの肝斑治療を開始して改善がみられた例をご紹介させていただきます。
今回は「シスペラオリジナル+」による肝斑治療を開始した患者様の状態を学ばせていただきます。当院は赤み治療が最も得意とするところですが、もちろんシミ・肝斑治療もなんでも可能です。ぜひご相談ください。
当院が今年から採用したシステアミン含有の「シスペラオリジナル+」入荷してもすぐに品切れしてしまっていまして申し訳ありません。

2025年8月開催の美容皮膚科学会でもシステアミンの発表内容は多く、今後のシミ・肝斑・PIHの治療のトレンドとなっていくのは間違いありません。
はい、それでは本題です。今回ご紹介させていただく患者様は、当院にてADM(後天性真皮メラノサイトーシス) の治療後すこし経過したのち、肝斑が顕在化し、シスペラでの治療を開始した方です。お写真の使用ご許可いただきありがとうございます。ADMは10代後半~20代ぐらいでみられる両側頬の色素斑です。肝斑とは初発年齢が異なります。まずはADMの治療経過をみましょう。

ADMの治療開始時。ここからQスイッチルビーレーザーでの治療を開始。

治療中の経過(Qスイッチルビーレーザー照射後で一過性のレーザー後色素沈着が最も強い状態)
QスイッチルビーレーザーによるPIHの顕在化状態。この状態は長いと沈静化に1年ぐらい時間が必要とされる場合があります。この経過が許容できない場合、ピコレーザーの1064nmで攻めればOK。ただし、Qスイッチルビーレーザーはガツンと効いてなおかつPIHが軽度の場合もあります。しかし経過は予測がしにくい面を持つため、ご自身のリスク許容度に応じて私の相談の上、決定しています。

一度はつよかったPIHもほぼ改善してきます。粘り強く待つことも大事。ADMに関してはレーザー治療で大きく改善。(他のADMの経過が気になる方は過去のブログを参照してください)
ところが、ADMが改善してきた後で、じょじょに「肝斑(かんぱん)」の存在が目立つようになってきました。

そのようなシミや肝斑、ADMの合併例はよく臨床上みられます。
肝斑は、肌への慢性的な刺激(紫外線・摩擦)がメラノサイトを活性化させ、メラニンを過剰に生成することで発症するメラニン増加症状でメラノサイトの機能性異常といわれます。ホルモンバランスや紫外線、生活習慣など様々な因子も関与し、再発や難治化もしやすい「治療難易度の高い色素疾患」
この肝斑に対して、今回 シスペラオリジナルプラス(Cyspera® Original Plus) を用いた治療開始。。
Cysperaはシステアミンを主成分とする外用剤で、近年欧米を中心に「肝斑・炎症後色素沈着・しみ」などに対する新しい治療選択肢として注目されています。
以下は私服部が調べて簡単にまとめたシステアミンの作用機序の表

⇑システアミンはメラニンが生成される過程を➀~⑦などの多段階でブロック!
対比されるハイドロキノンは➀チロシン水酸化阻害(チロシナーゼ)のブロック⑥メラノソーム輸送の阻害がメインとなります。阻害過程がシステアミンに対して少ないのです。
さらに、ハイドロキノンはメラノサイト内のタンパクを障害しメラノサイトの活性低下という細胞障害性をもつため、当院では3カ月の連続使用後は一度3カ月の休薬期間を設けています。

使用方法は基本的に毎日継続していただき、約1か月で少しずつ明るさや色調の改善が見られ始めました。スキンケアには当院オリジナル「CELLEGAセレーガ」を使用していただいております。

患者様ご自身も「なかなか消えなかった肝斑が、少し薄くなったように感じる」と言われ、ポジティブな変化を実感されています。
システアミンは、かつては強い臭気のため実用化難易度が高かった。それが原題の製剤技術の進歩により安定化が実現。臭気もコントロール可能に。そして以下の3大特徴を有します。
➀美白効果:メラニン生成抑制作用はハイドロキノンに匹敵するとの報告あり。
②安全性:長期使用においても重篤な副作用は少なく、炎症後色素沈着(PIH)リスクが低い。
③適応の広さ:肝斑だけでなく、炎症後色素沈着や全体的な肌のトーン改善にも有効。
特に肝斑はレーザーや光治療で悪化するリスクもあるため、外用治療の選択肢が増えることは大変大きな意味を持ちます。さらに、ビタミンCやトランサミンの内服を併用できれば効果が期待できます。システアミンはお風呂前などに使用するので、ナイトケアの後に、トランサミン外用の併用も有効と考えています。(スキンケアでの美白効果を期待するのもなおよい)
今回のケースは使用開始から1か月程度。シスペラは3か月、6か月と長期的に続けることでより顕著な改善が期待されます。さらに経過がすすみましたらまたご紹介させていただきます。
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