執筆した顔面の毛細血管拡張症に対するVビームレーザー治療の研究論文が美容皮膚科学会誌に掲載されました。服部は私の医師人生をかけてこれからも難治性の赤み治療に取り組みます。
このたび、私服部が膨大な時間をかけて取り組んできた「顔面毛細血管拡張症に対するVBeam(ブイビーム)レーザー治療の効果検討」に関する論文がアクセプトされ、2025年10月日本美容皮膚科学会誌に掲載されました。

本研究は、2024年夏に開催された日本美容皮膚科学会総会において服部が発表し、「優秀演題賞」を受賞した演題に対して、光栄ながら論文作製の依頼をいただきました。そして発表内容にさらに統計的解析を加えてしあげた論文となります。80症例の写真データを比較することはとても大変な作業であり、形成外科・皮膚科の専門医の2名の医師にもご協力いただきました。アクセプトされた際は感無量でございました。

研究の背景
顔の赤み(毛細血管拡張症を代表とする)は、難治性の場合もあり、多くの方が悩まれる症状のひとつです。特にコロナ以降に増えていると感じています。
その治療にはVビームレーザー(ダイレーザー)をはじめとする血管治療用レーザーが用いられますが、血管の太さに応じた最適なパルス幅、フルエンス(強さ)設定については、これまで明確な基準はなく、各施設、各Drの裁量で決定されており、治療効果はさまざまであるのが現状です。
本研究の目的と内容
本研究では、顔面の毛細血管拡張症の症例の80症例を対象に、
①各々の症状の根幹である毛細血管の血管径を計測、血管径に対しての適切なパルス幅を決定し、


②その治療効果(面積縮小率や改善度)をレーザー照射後3回目、5回目で比較解析した論文です。
③さらに、これまで4型と分類されてきた顔面毛細血管拡張症において、
「新たに提唱すべき第5の型「網目型」(Type V)が存在する可能性」
を提唱しました。

V型の典型例です。

血管を拡大するとこのようになっています⇩

⇩「血管強調画像」にて詳細に確認できます。血管がネットワークのようにはりめぐらされている像です。

さらに「血管蛍光色画像」です。

血管蛍光色画像は、血管構築と深達度の特徴を明瞭に表します。強い蛍光は(明るい緑)は浅層血管、やや暗めの蛍光(緑の陰影)は深層血管を意味します。特に中央部は輝度差が強く、深層血管叢から浅層への立体的な重なりがみられる典型像です。「深さの階層的分布」を示すのです。
これは今までの、どの論文にもない新しい発見で、レーザーにて治療効果を出すのに難渋する型となります。「網目型」と名付けました。症状の見た目的にもこの型は他の型より赤みが強く、層状に毛細血管が張りめぐる状態で、Vビームやノーリスを照射した際にもなかなか血管の狭小化に至らない状態です。しかし粘り強く治療を行うことで結果を出すことはできます。


研究の意義
レーザー治療の結果を数値化・統計化して検証することで、おおよその治療効果が確認できるまでの時間、回数での治癒%の目安が示せたことが意義であったのではないでしょうか。
| レーザー後範囲評価 | 3回治療後 23.2%縮小 | 5回治療後 28.0%縮小 |
| レーザー後赤み評価 | 3回治療後 27.8.%改善 | 5回治療後 42.0%改善 |
またレーザー照射設定についても、科学的根拠に基づいたパラメータ設定が可能となります。
これまで曖昧であった「どのような血管に、どの照射条件が最も適しているか」を整理することで再現性の高い治療プロトコールの確立に一歩近づくような提唱ができたかと感じます。
赤みの治療の今後
今後も、毛細血管拡張症をはじめとする「赤み治療」の分野で、より正確で安全、かつ効果的な治療を追求してまいります。毎日赤み治療を行う中で、よりよい治療方法を考えています。
遠く日本各地から(北は青森県にはじまり、東京、大阪、四国、九州からも)当院には赤み治療で足を運んでいただいています。難治性の赤みで悩む方の辛さは想像を絶するもの。日常生活を脅かし、精神的な負担を強いるほど顔の赤みとはつらいものであるのです。その期待に応えるために、さらに詳細なVビーム、ノーリスの照射設定についての考え方を今後もまとめていきたいと考えています。
服部形成外科・皮ふ科は
「日本一の赤ら顔・赤み治療クリニック」

を目指します。私は日本一のVビーム、ノーリスの使い手となれるように日々診療に向き合っています。
Vビーム、ノーリスは照射方法を徹底することで治療の可能性を飛躍的に高め、診断、適切なスキンケアを合わせることで見違えるほどの効果を発揮できます。赤みから解放された患者さんの顔をみるのは本当にうれしいものです。
興味をもっていただけた方は、ぜひ日本美容皮膚科学会誌に掲載された本論文をご一読ください。

論文掲載:日本美容皮膚科学会雑誌
発表演題:「顔面の毛細血管拡張症に対して色素レーザーを照射した80症例の血管拡張分類と分布範囲、レーザー治療効果の考察」
受賞歴:2024年度 日本美容皮膚科学会総会 優秀演題賞
研究テーマ:Vビーム 顔面毛細血管拡張症 最適パルス幅設定、面積縮小率解析、新分類(Type V)の提唱
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